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『前略、僕は日本のどこかにいます。』

Penseur

2015.09.24

松子

シルバーウィークは、どこに出かけましたか?
たまには旅に出たいなぁ・・・
そんな気分で今回のブログです。

 

突然ですが、

コピーには文字だけで成り立つ前提ものと、グラフィックと補完し合うことを前提としたものとがあります。
前者は、たとえば、

「ココロも満タンに」(コスモ石油)
とか、
「ため息の多い国だから。」(明治キシリッシュガム)

このように、コピーと商品(企業)名を並べるだけで訴求ポイントが明確です。
では、こちらはいかがでしょうか?

「前略、僕は日本のどこかにいます。」(JR青春18きっぷ)

字面だけでも、なんとなく言いたいことは分かりますが・・・

そこで、このコピーが掲載されたポスター全景です。

2000

まさに地の果てを思わせる、誰一人いない駅のホームで悠々とくつろぐ“僕”の姿。
眼前には海。どこまでも広がる空。
次の電車はいつ来るのでしょう?
時間や他人の目など、何一つ縛られない旅の場面の1カット。
そこに添えられたコピーが決定打となり、自分も思わずオフィスを飛び出したくなります。
ちなみにこのロケ地は「下灘駅」といい、鉄道ファンには有名な撮影スポットなのだそうです。

↓その前年のポスターでも下灘駅が舞台となっていました。

20002

「思わず降りてしまう、という経験をしたことがありますか。」
このコピーも素敵です。

 
青春18きっぷのポスターは、春・夏・冬と発売時期に応じ3パターンが発表されますが、毎年ここまでの注目が集まる広告物も珍しいでしょう。
シリーズの歴史は古く、今年の夏には25周年を記念して書籍まで発売されました。
グラフィックとコピーの見事に親和したクオリティの高さで、愛好家も多く存在しています。

これらのコピーに共通しているのは、主張しすぎず、見た人の想像力を意識しているということ。
普段注目されやすく、また自分にも仕事でよく発注があるのは“とにかく分かりやすく、印象に残る”コピーです。
もちろん、そのような“コピーありき”のクリエーティブも案件によっては必要ですが、
もっとグラフィックと補完し合って、読者の心に入っていくことで、当人が自然と訴求を導き出せるような・・・
そんなコピーも作っていきたいと考えさせられました。