Blog

嗚呼フィルムカメラ、そして銀塩写真

Penseur

2015.01.27

しおにゃん

足かけ20数年、いろんな出版社の編集部に在席してきた私ですが、そもそもカメラマンをしておりました。おかげで自分の雑誌でカメラマンに頼むほどではない写真は自分で撮影ができたり、カメラマンとの打ち合わせもスムーズに行えるなど利点をよく感じます。

カメラ業界としてはここ15年ほどはデジタルカメラ一辺倒になり、200年近く隆盛を誇った銀塩写真は虫の息になっています。確かにコスト面や仕上がりまでのスピード、撮影途中での確認が可能、といったデジタル写真特有の利便性はプロの現場でずっと待ち望まれていたものでした。

しかしその陰でフィルムカメラと、それに使用するフィルムはほぼ絶滅状態に。時代の流れのすごさに感心しつつ、たまにぶらっと中古カメラ店やフリマなどに出かけては、カメラの出物を物色したりしています。

 

その中でも、最近買ったのがミノルタのα-9000というカメラ。1985年に発売され、世界初の本格AF一眼レフカメラとして大爆発的売り上げを誇ったα-7000の上位機種。当時の価格で本体が128,000円だった。当時多メーカーでいうとキヤノンのnewF-1やニコンのF3などと同じく「プロフェッショナル機」としてミノルタが市場に投入した初のカメラ。カメラ好きとしては、その発売に興奮したものです。

Minolta-9000

このシルエットはAF一眼レフで唯一!

 

しかし実際のところ、このα-9000というカメラ、ネタ満載な感じで個人的にはまったくプロフェッショナル機という片鱗を見つけられません。スタンダードなα-7000よりも遅いAF、モータードライブをつけても本体への電源供給なし、フィルム巻き上げレバーのチープさなど、高級機種としての威厳が感じられません。

当時はそんなえらそうなことを思っていましたが、今となっては発展途上であったAF一眼レフを物語る貴重な一台として伝説の名機といってもいいでしょう。実用的AF一眼レフカメラとしては、フィルム巻き上げレバーはこれにしか搭載されていません。巻き戻しクランクはニコンがずっと採用していましたが。

最近は状態にかかわらず、α-9000を見たら購入してしまっています。しかしジャンクで500円、使用可能な中古ボディで740円など、発売当時の自分へお土産に買ってあげたくなるような値段です。現在は2台なので、目標10台になるまでカメラ店を放浪します。

 

実は本当に欲しくて探しているカメラはキヤノンのT-80というα-7000に完敗したカメラです。こちらは不人気機種で販売台数が極めて少ないため、ここ15年ほど現物を見たことがありません。

どこかで出会いたいものです。

 

キャノンT80

洗練はされていないが、残念な感じが今となってはかわいく思えるキヤノンT-80